カラダに合わないかなと思ったら、除去食試験をします。

カラダに合わないかなと思ったら、実際に食事内容を変えて症状の変化を見る除去食試験と、元の食事に戻して症状が再発するか確認する食物負荷試験を組み合わせることが必要不可欠です。
これらの試験は診断的意味合いと同時に治療的意味合いも持ち、原因の特定だけでなく症状の緩和にもつながる科学的・臨床的に確立された方法です。

除去食試験の進め方

除去食試験とは、現在与えている食事に含まれているかもしれないアレルゲン(原因食材)を徹底的に除いた特別な食事に切り替え、ペットの症状が改善するかどうか観察する方法です。
言い換えれば、アレルゲンを含まない食事を一定期間(通常6~8週間程度)与え続けて、症状の変化を評価します。

1.
新しいフードに全面的に切り替える。これまで与えていたフードの原材料を確認し、疑わしいアレルゲンを一切含まない食事(除去食)を用意します。
新しいフードへの移行は本来徐々に(5~7日かけて)行うのが望ましいですが 、必要に応じて早めに切り替える場合もあります。
切り替え後は除去食以外は口に入れないよう徹底します。
おやつなどほんの一口でも試験の信頼性が損なわれるため厳禁です。
このように家族、関係者全員でルールを確認し、他の動物とも食事を完全に分けて管理することが除去食試験成功の鍵になります 。

2.
一定期間(6~8週間程度)その食事のみで継続し、症状を観察する。
皮膚のかゆみや赤みなどの症状の場合、少なくとも6~8週間は除去食を与え続けることが推奨されます。
これは、臨床研究により「効果的な除去食であれば4週間で約50%の症例が症状改善し、8週間で90%以上の症例が改善する」ことが示されているためです。
中には更に長く、最大12週間ほどかかってようやく症状が完全に治まるケースもわずかながらあります 。したがって8週間を目安としつつ、必要に応じて10~12週間まで延長することで真の反応を見極めます。
消化器症状(慢性的な下痢や嘔吐)を伴う場合は、比較的早く1~2週間以内に改善が見られることも多いですが 、皮膚症状(痒みや皮膚炎)はアレルゲン除去後も改善までに数週間~数ヶ月を要することがあります。
試験開始前に痒みの強さを10段階評価したスコアや皮膚の写真を記録しておき、経過中にそれと比較することで客観的に症状の変化を判断すると良いでしょう。

3.
症状の変化を評価する。 
試験期間中に痒みや皮膚の状態が明らかに改善したかどうかを判定します。
もし除去食のみで症状がほぼ消失した場合、そのペットの問題は食物アレルギーである可能性が高いと考えられます。
一方、多少良くなったものの完全には治まらない場合は、食物アレルギーと環境アレルギー(アトピーなど)が両方関与している可能性が指摘されます。

⒋.
全く改善が見られない場合
残念ながら食事以外(環境中のアレルゲンや別の病気)が原因である可能性が高く、除去食の選択が適切でなかったか、食物以外の要因(ノミの寄生や二次的な感染症)が症状に影響していることも考えられます。
そのため、除去食試験に入る前に皮膚の細菌・マラセチア感染やノミなど寄生虫の有無を調べ、必要なら治療しておくことも重要です。
また、最初に試した除去食で効果がなかった場合でもすぐに諦めず、別の内容の除去食を1~2種類試してみることが推奨されています。
最初の除去食にその子にとってのアレルゲンが偶然含まれていた場合、当然改善しないため、別のタンパク源に変更することで改善が得られるケースがあるからです